EDITION88×高田明美 インタビュー 第2弾
第1弾に続き「きまぐれオレンジ★ロード」の作品を中心に、キャラクターの描き方やこだわりを詳しく聞かせていただきました!
ー美大生の頃やタツノコプロの頃、キャラクターデザインの仕事に携わっていく中で、なんでも良いので“かわいい”にまつわる思い出はありますか?
高田明美(以下高田):タツノコ時代はあまりかわいい全開な話は無いですけど、『ムテキング』をやる前までは各話のゲストキャラばっか担当していたんですけど、ムテキングのメインキャラクターシートを作る時に、タコ美の表情集は任せてもらいました。キャラクター室の中でも、かわいい絵を描くと思ってもらっていたんではないでしょうか。
ー最近はデジタルでのみ描く作家も多いですが、手書きの一番の魅力ってなんでしょうか?
高田:私もそのうちデジタルに移るのかなぁって思ってたんですけど、デジタルだとやっぱり若い人の方が上手くって、自分が思ったような感じをデジタルで出せないんです、どうしても。それだったら、アナログで描いた方が自分らしい良さが出しやすいと思いました。最近は成田美名子さんとか漫画家の展示もあったりしますよね、それを見ると本当に細かい柄が綺麗に描いてあって、やっぱり手で描けるものは貼り込み(画像やデータ)じゃなくて、描いておくべきだと思いました。データ加工でフィニシュだと私にとって1枚の絵として残らないという感じが強くて。
※成田美名子さん:漫画家。代表作は『エイリアン通り』『CIPHER』など。 2021年4月に原画展を開催。
ーアナログだと後戻りが利かないじゃないですか、デジタルだとヒストリーで戻れますけど、描けない側からすると、人間技だけど人間技じゃない感覚があります。
高田:デジタルの時にはちょっと飲みながら描いたりできるけど(笑)アナログの時には、お酒を飲みながらは描けないです。でも長い事やってると失敗もあるので、失敗したら失敗したである程度リカバーもできますが、顔とかの塗りを失敗したら最初からやり直します。
ー1発で決めなきゃいけないという緊張感、特に目や唇のハイライトとかドキドキしますよね。
高田:でもまぁ、そこらへんは仕上げなので、あまり失敗しないです。
こういう絵(版画1)だと、肩のぼかしを塗りつぶさず、どういう風にほわっと柔らかい感じに残すかっていうのが大事だったりするんです。
▼版画1(東宝 映画「きまぐれオレンジ☆ロードもぎたてスペシャル」宣伝イラスト(1989年))
いかに光の部分を残すかみたいな方が、これ(版画5)の髪の毛のハイライトも塗り残しですよね。
▼版画5(ムービック キャラクター商品用イラスト(1989年))
ーなるほど、敢えて塗らないんですね。
ー鮎川まどかのキャラクターデザインで特に注意した点、見どころなどあれば教えてください。
高田:服が似合うキャラクターなので、何着せても良いんですけど、髪の毛をちょっとアレンジした時もあるんですけど、アレンジするとファンから苦情が(苦笑)「サラッとしてるのがいいんだ、三編みにするな」みたいなことを言われました。
マミと違って、芸能事務所の社長のような気持ちで「売り出してやらなきゃいけないなぁ」みたいなところはありましたよね。
ーなるほど、「売り出すとしたらこんな感じ」というイメージでまどかをデザインされたんですね。
高田:そうですね。お預かりしたお嬢さんをアイドルとして磨く感じ。
ー髪型がウェーブの時もありましたね。
高田:はい。でも、あまり髪のアレンジは好まれないということがわかりました。
ーやはり黒髪ストレートが人気なんですね。
―まどかの目の色が印象的ですが、色は高田先生が決めているのですか?
高田:私はキャラクターデザインをする時に、ぴえろの場合、(メインキャラクターの)色指定まで任せてもらっているので、ラムの髪の色とか、ビキニが黄色と黒になるのがわかっていたから、ラムの場合は虎縞でそれに合わせて緑が1番品が良いんじゃないかなと思って緑系にしたんです。
表紙ごとにコミックスの色が違ってたんですけど、何色塗ってもいいんだったら緑にしようと思いました。
マチコ先生なんかも、キャラクターのメインシートを描いて色決めましたし、あとクリィミーマミはもちろん私が指定してます。スポンサーのバンダイがおもちゃ屋さんなので、「女の子のおもちゃとして売れる色を」みたいな押しは結構ありました。
オレンジ★ロードの時もたぶんメインキャラクターの色は全部決めていると思います。目が緑だったり、髪の毛が紺色だったりするのは、まどかは漫画のコマでは髪の毛がベタなんで、黒は黒なんだけれども、ただの黒に指定はしたくありませんでした。黒髪のイメージはあるけれども……みたいな感じで紺色にしたので、それに合う色っていうので瞳の色を私の好きな青緑にしました。
だいたい首から上にカラーバリエーションが集まるようにしてあります。
※マチコ先生:『まいっちんぐマチコ先生』作者はえびはら武司。女性教師、麻衣マチコとその生徒達が繰り広げるギャグ漫画。テレビアニメ化で人気を博した。
ー1つの色に対しても、高田先生のこだわりがとても伝わってきました。
本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
撮影場所:CAFE ZENON&ZENON SAKABA
【アニメ「きまぐれオレンジ★ロード」Blu-ray BOX 発売記念展】
Blu-ray BOX発売を記念し、有楽町マルイにて期間限定イベントの開催が決定!
会期:2021年11月13日(土)~11月28日(日)
会場:有楽町マルイ 8Fイベントスペース
Blu-ray BOX の販売を始め、アニメ関連資料やカラーイラストの展示、キャラクターデザインを担当した高田明美によるイラストを使用した版画や新作グッズを販売予定です。
是非会場へお越しくださいませ!