EDITION88×くまくら珠美 インタビュー 第1弾
今年の10月にくまくら先生の新作絵本2冊、「そらのきっさてん」「ほしのこんぺいとうハンター」(共に理論社)が出版されました。
今日はその作品の色校正と、版画のサイン入れでお時間をいただきました。
まず、この新作絵本についてお話しおきかせください。
―新作が2冊ありますが、最初から2冊同時発売の予定だったのですか?
この絵本の企画の始まりはいつ頃で、そのきっかけとなる出来事などあったのでしょうか?
くまくら珠美(以下くまくら):編集者さんからお話をいただいてハッキリとしてきたのがちょうど1年前なんですけど、それ以前にも私の文と絵で絵本を、というオファーをいただいていて、本格的に形となって始動したのが去年の今頃だったんですね。編集者さんがうちにいる猫の嗣千代(つぐちゃん)と歴代の猫の雪男のお話を形にしたいとラブコールを送ってくださいました。
最初は1冊で描こうと思っていて、でもスピンオフの話を私が作りたくなってしまって、2冊になりました。
―1冊目を描き進めていく中で、途中から2冊目を描きたいと思われたんですか?
くまくら:わりと同時進行でした。自分の中では。
同時進行だったんですけど、「スピンオフもありますよ」と出したのが、ちょっとずれて後だったのかな。
―なるほど。2冊とも同時期に進めていたんですね。
くまくら:こちら『そらのきっさてん』が一応話の流れ的にはエピソード1なんですよ。こっち『ほしのこんぺいとうハンター』がエピソード0という感じなんですね。「双子」とも呼ばれているのですが。
ただ読む時は逆でもいいかなと思っていて、スターウォーズは8部作あって、途中に最初のエピソード、その後に過去に戻ったりする構成だったじゃないですか。
わりとそのイメージでした。
―そうだったんですね。どちらから読んでも楽しめるようなストーリー展開にしたんですね。
くまくら:そうですね。
ただ初めましての読者の方もいるので、わからなくならないような構成にしましょうと編集の方に言われていて、その辺を注意して進めました。
―絵本を制作していく中で、苦労した点はありますか?
くまくら:最初の読者さんっていうと、編集者の方とのやりとりから始まるんですよ。一番最初の第1号の読者さんが、一緒に本を作っているパートナーの編集者さんなので、その方にまずボールを投げて、コミュニケーションをとりながら進めていくので、最初はどういうふうに設定していくかっていうのを結構何度も何度もやり直しました。
大変というよりかは楽しいキャッチボールだったんですけど。
それ(物語)をいかにわからせて、進めていこうか時間がかかりました。
―話し合いをしていくうちに、ストーリーが変わってしまうこともありますね。
くまくら:そうですね、結構変わりました。
「そらのきっさてん」で最後の方に出てきたトラ猫ちゃん、当初この子は、最初から出てきてたんですよ。
(トラ猫が)街を彷徨っていたら、なんか知らない喫茶店があったので入ってみたら…というイメージで進めていて、この子がいろんなお客さんを眺めていくような設定ではあったんですけど。
―それは、だいぶ最初の頃の設定と変わりましたね。
編集者さんと話し合いを重ねていきながら、ストーリーの構成が決まっていくんですね。
くまくら:そうなんです。編集者さんによってやり方も変わると思いますが、この時はそのやり方で進めさせていただきました。
―絵本を描き始めたのはいつ頃ですか?
くまくら:描き始めたのは、趣味程度でなんとなく落描きではずっと描いていたんですけど、最初に本を出したのは「猫又指南」という漫画を出して、今とはちょっとテイストが違う4コマ漫画を描いていたんですね。
その連載を8年くらい続けていて、その間にもいろんな絵を描いていて、絵本も作りたいなというのは、ずっとあったんです。
一番最初に絵本を作ったのは『わたしのげぼく』(作・上野そら/アルファポリス)という上野そら先生が文を書かれている共著の絵本で、絵本としての著作はこれが一番最初ですね。
―子供頃から絵は描かれていたんですか?
くまくら:絵を描くことと、息を吸うことはずっと続けてやっていることですね。飽きずに。わりと飽きっぽいんですけど。それだけはやっています。
―いろんな場所に落描きをしたりとか?
くまくら:授業中も勉強せずに、教科書に絵を描いてしまうような子でした。上手い下手は抜きにして結構好きで描いていました。
―猫を描き始めたきっけかけは何でしょうか?
くまくら:猫はですね、結構前から描いているんですよ。
中学3年生の頃に初めての猫が実家にきて、そこからずっと猫と一緒なので、この頃から常に猫がテーマな気がします。
今よりは描いてはいなかったですけど、ちょこちょこと落描き程度に描いていました。
―くまくら先生にとって、猫の魅力ってどんなところでしょうか?
くまくら:猫は気まぐれとか言いますけど、いつも一生懸命ですよね。
あと最高のコメディアンですよね。
―見ていて飽きないですもんね。
くまくら:そうですね。朝起きて猫が隣にいて、猫の毛皮の匂いをくんくん嗅いだだけで結構、精神安定剤的になるので。
それは私ばっかり受け取る側になってしまうんですけど、一緒に猫(動物)と暮らすとちょっと人生得したなって感じがしますね。
―猫の好きな体のパーツやポーズはありますか?
くまくら:そうですね…いろんなフェチの方がいますよね。肉球とか。
あらゆるところが可愛いですよね。もうパーフェクトです。
―「ここ」がというより、全てがお好きなんですね。
くまくら:そうです、パーフェクトクリーチャーですよね。
人間なんて猫の前に出たら、全然ですよ。笑
―人間よりも猫なんですね。笑
くまくら:もちろんですよ!
―今まで合計何匹の猫を飼われていましたか?
くまくら:11匹ですね、ちょうど11匹の猫ちゃんですね。
―すごいですね!ご家族全員猫好きなんですか?
くまくら:父は昔から、猫を飼っていたというか…いたらしいんですよ。
でも母は、最初は猫が嫌いだったんです。
ある日姉がキムちゃんとゲンちゃんという猫を拾ってきたんですよ、そこから母も猫の魅力に取り憑かれて。
―猫を拾って来た時は、反対されなかったのですか?
くまくら:その前までは、私が小学生の時に猫を拾ってきて、部屋で布団の中に入って匿っていた時に、母が来て「何やってんの」って言われて「何でもない」と答えたら、猫が「ニャー」と鳴いてしまったんです。そこでバレちゃって「捨ててらっしゃい!」と怒られ、その時は拒否されたんですけど。
―その時は駄目だったんですね。
くまくら:駄目でしたね。
姉がもらってきた時は、わりとすんなり家に入れてもらってました。
―そこから猫との暮らしがスタートしたんですね。
いろんな種類の猫を飼われていたんですか?
くまくら:そうですね、基本的に保護猫ちゃんなので。
―ペットショップ等には?
くまくら:動物は買うものではないと思っています。
―今飼われている3匹の猫ちゃん達はみんな仲良しですか?
くまくら:付かず離れずですね。
三毛が2匹女の子同士で、同じ地域で保護されたんですけど、その子達は、仲が良いような悪いような、いつも夜中にダダダって(駆け回っていて)
ヒナギクコっていう猫は、小さいのに気が強い子で、甘々ちゃんでもありますが、ナナツボシコの何かが気に入らなくて、かけっこが始まるんです。
そのことをニャーニャ―トレインと呼んでいるんですけど。笑
―それは賑やかですね!
名前がすごく特徴的だと思ったのですが、名前の由来はありますか?
くまくら:嗣千代は、藤田嗣治さんが好きで、“嗣”という文字をもらって、知り合いの水彩画の先生とかにも話して、嗣千代にしたんですけど、嗣というのは引き継ぐという意味があるので、歴代の猫達を引き継いでいって今に至ってるんだよっていう意味を込めて嗣千代にしました。
―なるほど、大切な思いが込められた素敵なお名前ですね。
くまくら:ナナツボシコとヒナギクコは、キラキラネームっぽいですよね。笑
この子達は、実は母の所にいたんですね。元住んでいた近所の梅ヶ丘で保護されたんですけど、当時母ところにいたチャービルさんって猫が亡くなって、母も寂しくしていたので、最初は母がヒナとナナって付けたんです。
母が病気になって入院して、もう亡くなってしまったんですけど、そこからうちが引き取って一緒に暮らした時に、名前をちょっと変えようかなと思って、「ヒナギクコ」「ナナツボシコ」にしました。
でも長いから恥ずかしくて動物病院とかでは「ヒナコ」「ナナコ」で呼んでいるんですけど。苦笑
まだまだお話を聞きたいところですが第1弾はここまで…🐾
くまくら先生の子供の頃の話を振り返りながら、猫ちゃん達の思い出トークにほっこり。
猫に対する「愛」がとても伝わりました💞
第2弾も絵本の制作について詳しくお話を伺ってきましたので、次回もお楽しみに!
第2弾はこちらへ
撮影場所:月光荘サロン 月のはなれ